春香の血で染まっていく手と服。
それが、俺を奈落の底に落としていく。
「大石!」
救急車よりも早く池内が来た。
池内は俺と春香を交互に見て、息をのむ。
「池内・・・」
「あ、ああ。止血は?」
「腕、押さえてるけど・・・。どうしよう・・・」
「大丈夫だから」
落ち着かせるように池内は言う。
そうこうしていると、救急隊員が到着し、春香の処置を始める。
それからは、コマ送りの様だった。
いつの間にか病院にいて、緑色のランプを見つめていた。
「春香が死んじゃったら・・・どうしよう・・・」
側にいるって言ったのに。
守るって決めたのに。
守れなかったら意味ないのに。
「お前、手洗って来い」
「・・・離れたくない」
「いいから」


