眠り姫と総長様


「未衣ちゃんなんか可笑しくなかった?」


「兄貴に急かされただけだろ」


「ありえるかもー。悠さん未衣ちゃん大好きだし」



"ばいばーい"

未衣はいつも帰る時にする挨拶。

また明日 ではなく 、ばいばい

未衣から
また明日 と言う言葉を聞いたことない。


どうして?

また明日 と聞きたいと思うのは俺のわがままなのか?


「なぁ、これ見るか?」

航輝が突然そんなことを言い出す。

机に"未衣について"と書かれた一冊のノートが置かれた。


「なにこれ?」

「未衣が来てから約2年半。俺たちが未衣について分かったことを書いたノートだよ。」

兄貴と作ったんだ、と続ける航輝。


「見ていいのか?」

「いいよ。てか、見て欲しい。

未衣と喋れるお前らはスゴイんだぞ。」

「普通だろ?」


確かに最初は無理だったが、2回目に会った時には普通に喋れた。