眠り姫と総長様


「未衣。挨拶出来るか?」


湊が心配してわざわざ確認するのは、

あたしが未だにこーちゃんの後ろに隠れているから。


きっと怖いと思っているんだって勘違いしている。

実際は大勢の人の前で緊張しているだけ

…とは言い切れないけど、とりあえず

恐怖より緊張が勝ってる。


「大丈夫だよー」

…多分。


「ん。」


湊があたしに手を差し伸べる。

こーちゃんの後ろから出て、湊の手を取って湊の隣に並ぶ。


収まっていたはずの心臓がまたドキドキしている。


湊の手を握っているからか、

緊張しているからか……


きっと後者だ。