眠り姫と総長様


「ちょっと奥さん、湊の顔が赤いわよ。」


「あらやだ、本当に。

湊にも春が来たのよ。」


「やっと来たのね」


陸と航輝が近所のおばさんのフリして会話をしている。


2人を睨むと


「あら、やだ。湊くんは反抗期かしら?」

「おー、怖い怖い。」


なんて言いやがる。


「春……?」


一人だけ状況が読めていない未衣は
不思議そうな顔をしている。


「未衣も自己紹介しな。」


「姫野 未衣だよー。」


笑顔で名前を言う未衣に、男四人して顔が赤くなる。


「…?みんな風邪?

こーちゃん移さないでね?」


「風邪じゃないから大丈夫。」


未衣は天然に加えて鈍感らしい……。


「そぉー?」


隣に座る航輝に俺と同じ笑顔で話す未衣。

少し嫉妬する。


悠さんは俺たちが来てすぐに教室を出て行った。

なんか用事があるらしい。