一回部屋を出て、なんかたくさん道具を持ってきた隆斗。
あたしはドレッサーの前に座ってるだけ。
30分くらいで、完成したメイクと髪。
「わぁー。」
鏡には、いつもと違うあたしが映っていた。
これあたし?
ナチュラルメイクに、お団子にされた髪
いつものあたしじゃないみたい。
意外と器用なんだね。
「隆斗ありがとー」
「ん。楽しんできてね。」
「はーい。」
いつの間にか9時50分。
あと10分しかない。
バックに必要な物を入れて、あとは待つだけ。
〜♪〜♪〜
10時ぴったりに着信が鳴る。
「もしもーし」
ー「着いた。」
そう言って切られた電話。
それすらも愛おしいと思ってしまう。
「じゃあ、行ってきまーす」
隆斗に見送られて家を出ると、門の前に湊が待っていた。
「おはよー。」
「はよ……」
素っ気なく返事をすると、口元を抑えて違う方を向く湊。
「どうしたの?」
「かわいすぎだろ……」
ボソっと小さい声で何かを言う湊。
「なんでもねぇ。乗るぞ。」
見慣れた仁さんの運転する車に乗る。
「仁さん、久しぶりー。」
「未衣ちゃんおひさー」
軽い挨拶を交わすと
「出せ。」
車が静かに発進する。


