眠り姫と総長様


優しく呼ぶと、ちょこちょこと俺の横に座る未衣。


「へへっ。」


「………」


ニコっと微笑む未衣を横抱きすると、

雅さんの額に青筋が浮かぶ。


「みー。」


不機嫌すぎる雅さんは


「湊達は今日はもう帰るらしい。

引き留めちゃダメだよ。」


なんてことを言い出した。


「ちっ。」


このやろう……なんて口には絶対に出さない。

殺されかねないから。


「そーなの?それなら早く言ってよー」


雅さんの嘘を信じ込んだ未衣は俺から離れる。


「じゃあ、こーちゃん達もバイバイしないと。」


そう言って部屋を出た未衣。


「みーが汚れる。」


「未衣は渡しません。」


黒い笑みを浮かべながら、会話をする。


「まぁ、悔しいけど未衣にはお前が必要だからな……

しょうがねぇけどな。」


「じゃあ、お言葉に甘えて未衣は貰いますね。」


「ちっ。」


雅さんから許可を貰ったから、これで堂々と未衣を口説くことが出来るぞ。


「みーなとー!」


タイミング良く陸に続き海、航輝、未衣が入ってくる。


「あっ、初めまして」


「あぁ。未衣の叔父の雅だ。よろしく頼む。」


「はい!」


初対面した雅さん達は挨拶をする。


「みー。門まで送ってあげな。」


「はーい」