眠り姫と総長様


「久しぶりー」


着物を着て雰囲気が変わっても、前と変わらない未衣。


「未衣ちゃぁぁん!」

「未衣ちゃん……」

「未衣ー!」

「未衣……」


「突然居なくなるなよ……」


「へへ。ゴメンねー?」


なんて笑顔で謝る未衣は、俺たちの知っている未衣。


それにどこか安心する。


昨日、隆斗に聞いた話が嘘みたいだ。


「迎えに来た。未衣。」


「………」


そう言うと、なぜか驚いている未衣。


「な、んで?
あたしなにも言わないで消えたんだよ?

勝手に居なくなったんだよ?」


「お前は消えたんじゃない。

自分の家に帰っただけだろ。」


俺たちの前から……俺の前から居なくなるなんて許さねぇよ。


「う、ん。」


困ったように眉を下げる未衣。


「それでいい。」


「みんな何も変わってないねー。」


「だって、たった1ヶ月位しか離れてないよー?」


「そっかー。」


「未衣ぃぃぃ!会いたかった!心配した!」


未衣に抱きつく航輝。


イラッとしたが、久しぶりだから許す事にする。


「ごめんね?こーちゃん。」


「良かった……」