眠り姫と総長様


次の日、俺たちは12時ピッタリに篠原組に着いた。


「ついてきて。」


前回と同じように隆斗が出迎えて客室に案内される。


「今未衣連れてくるから。」


「あぁ。」


もう少しで……未衣に会える。


ドキドキ


緊張のせいか、未衣に会えるからか暴れ出す心臓。


コンコン


「失礼する。」


俺たちと居た時より少し低い未衣の声。


ガラガラ


襖が開くと、久しぶりに見る未衣は
黒が基調の着物を着ていた。


見惚れるほど綺麗な未衣は、入り口で目を見開いて固まっていた。


「え……は…?」


俺たちが来ると聞かされてなかったのか、戸惑っている未衣。


「未衣。入らないの?」


「あ、うん……」


入った入った、と未衣の背中を押して入る隆斗。


俺たちの目の前に座ると、


「隆斗、あたし聞いてないけど。」


隆斗を睨む未衣ですら、可愛いと思う俺。


「未衣が自分から会いに行けないって言うから連れてきた。

こいつらから来るなら問題ないんだろ」


「確かに言ったけど……」


「じゃ、いいじゃん。
ゆっくりしてけよ。」

「あとでね、未衣。」


俺たちとは違う優しい声音で未衣の頭を撫でると、部屋を出た隆斗。