「未衣は今、雅さんの仕事に着いて行くのが仕事なんだ。
仕事っつーか、怒る雅さんを宥める役っつーか。

それで、お前らを未衣に会わせようとした日、午前中は雅さんが休みだった。

完全にオフで、二人は買い物に出掛けたよ。

時間は伝えた筈なのにお前らが到着しても二人は帰ってこなかった。

電話したら、どっかの組に付けられてるって撒いてる途中でさ。


調べさせたところ、神崎って言う傘下の組だった。」


良いところで区切った隆斗は、出されたお茶を飲む。


「それで?」


「それで、帰って来た雅さんと未衣はそれはそれはご立腹。
怖すぎて話しかけるのを躊躇ったよ。

報告を聞いた雅さんが、そこら辺にたむろってるクソジジイ共を全員離れに集めた。

そこから緊急会合。

理由を聞くとさ、お前らに説明した通り、未衣に一目会うため。

傘下なんだから堂々としていれば良いのに、篠原に入れないと思って押し掛けたらしい。

バカすぎて呆れたよ。」


はぁー。と溜息をつく隆斗。

雅さんが怒るほど恐ろしいものはないと思う。

あの人が怒ると部屋の温度が2、3度下がる。


「俺的にはさ、クソジジイ共が勝手な行動をしなければ湊達に会わせられたから
さっさと帰って欲しかった。

追い出そうと何回考えたか……」


「………」


「クソジジイ共が来たのは、未衣に"おかえり"を伝えるため。

俺の話を聞いてたら誰でもそう思うだろ?」


「違うの?」


「俺もそれだけで終わると思ったんだけどさ……違かったんだよ。」


思い出してなのか、ドスを効かせた声に変わる隆斗。