眠り姫と総長様


「さて、駆除の仕方が3種類ある。
それからどれか一つ、好きなのを選べ」


どこか楽しそうな未衣。

こんな状況でなぜ楽しそうなんだ…?

ここに、俺の知っている未衣は居なくて目の前にいる未衣に恐怖を覚えた。


「1、半殺しにされた後組長を辞めて、死ぬまで車椅子の生活をする。

2、半殺しにされた後組を潰され、死ぬまで車椅子の生活をする。

3、半殺しにされた後組を潰され、社会的に抹殺される。

どれがいい。」



………拷問だ。

こんなの恐怖以外の何者でもない。


全員半殺しにされるのは確定されているし、組を辞めるのも確定。


こんな3択聞いたことない。


「ちなみに
尾行もろくに出来ない無能な神崎と

今回ここに来ることを提案したバカな尾野と澤部。

私にナイフを向けた死にたがりの北野は

3だ。」


「「「「ひっ…」」」」


今目の前で行われているのは現実だ。

ミステリー映画でも、ホラー映画でもない。

16歳の女がたった一人で、20人の老人を確実に追い詰め恐怖を与えている。



組長は無表情のまま、暴力で肉体的に追い詰めるが
未衣は肉体的にも精神的にも両方追い詰める。

確実に相手を自殺に追いやる。


怖い。恐い。

これは未衣じゃない。
俺の知っている未衣じゃない。


もしかしなくても、組長よりタチが悪い。


ー「未衣を怒らせるな。」

ー「本当の意味で恐ろしくなるのはこれからだ。」


組長の言っていた意味が今になってわかった。