眠り姫と総長様


「い、いや……その……な?」

隣にいるジジイに同意を求めるジジイ。


それのお陰で、組長と未衣によってどんどん放たれる殺気。


「早く言え。」


「その……お嬢にお見合いをと思いまして!
我々、息子の写真を持ってきました!」



……嫌な予感的中。

般若となった組長はドス黒いオーラー。
睨んだだけで人が殺せそう。


こいつら死んだな。

心の中で手を合わせる。


「ねぇ。
昔からお見合いはしないって言ってあるよね」


怖い怖い怖い。怖すぎる。


本気で怒っているであろう未衣は、
笑っている。
それはそれは満遍の笑顔で。


殺気を放ち、ドス黒いオーラーを纏い
久しぶりに見た未衣の笑顔。

……目が笑ってない。

顔は笑っている。

でも、目は背筋が凍りつく程冷たい。


「ぇ……ぁ……その…」


「もしかして忘れちゃった?
そっかそっか。3年経つだけで忘れちゃうんだ。」


「ぁ…み、未衣嬢……?」


「おじさんって大変だね。

聞いたことすぐ忘れちゃうんだもん。」


「忘れた訳じゃ……」


「忘れてなかったらなんでお見合い写真なんて持ってきた。」


いきなり無表情に戻った未衣。

さっきまでの笑ってない笑顔より、少しはマシ……かもしれない。


「未衣嬢も、年頃の女の子なので……

この機会に息子と……」


「今のうちに息子と会わせといて、もしかしたら将来結婚しちゃうかもー。

とか

もし結婚出来たら出世出来るんじゃね?

とか思っちゃったわけ?」


ジジイの言葉を遮って、きっとジジイ共が思ったであろう事を言う。


「…っ……」


図星だったらしく黙るジジイ共。


バカ過ぎる……。