重い空気の中、口を開いたジジイ。
「そ、の……未衣嬢が戻られたと聞きまして。
傘下共で一目見たいと話していたのですが、篠原に入れないだろう思いまして」
「それで、付け回すようなマネをしたのか。」
……呆れて物も言えない。
アポを取れば良いだけの話だろ。
傘下なんだから、もっと堂々としろよ
いちいちそんな事をするから、余計に組長の機嫌を損ねるんだ。
「「す、すいませんでした!」」
勢いよく頭を下げて謝るジジイ共。
最初からしなければ良いのに。
「お前らの見たかった未衣は目の前にいる。それで充分だろ。」
……違う。
これじゃない。俺の感じている嫌な予感はこれじゃない。
「「お嬢、お帰りなさい!」」
「……ただいま。」
いつもより低い声で返す未衣。
これで終わりだ。
そう思いたいのに、どこか引っかかる。
このまま平和に終わってくれない気がした。
「で?」
未衣が言うと、口ごもるジジイ共。
やっぱり。
そろそろ追い出して良いか?
溜まっていくストレスを感じながら、その先の会話を聞く。
「お前らがその後ろに隠し持っている物はなんだ。」
さっきよりも更に低い声で有無を言わせない口調の未衣。
隠し持っている物だと……?
「こ、これは……」
「全員して持っているよな。ずっと気になっていた。さっさと出せ。
それによってお前らの未来が変わってくるぞ。」
おいおい。
出された物によっては、未来が変わるとか何持ってきたんだよ。
お前らに付き合ってる暇はねぇんだよ。
さっさと帰れ。
つか、くたばれ。
顔を青ざめるジジイ共。
出すなら出せよ。
どんどん重く暗くなっていく空気。
嫌な予感がした。


