電話から10分で帰ってきた組長と未衣。
「組長、お嬢、お帰りなさい!」
「………」
「………」
ただならぬ雰囲気の二人に、ビクつく組員。
恐ろしい程の無表情。
纏う雰囲気は冷酷そのもの。
全国のトップに立つ男と、その血を継ぐ女。
しかも、二人が本気で怒ったら止めれる者は誰もいない。
「隆斗。調べはついたか」
「はい。どうやら地方の傘下の組がお嬢が帰ってきたことを聞きつけて、一目見たいと。」
報告をしながら組長室へ向かう。
「どうせ頼んでも会わせてくれないと思ったから、強行手段をとったんだろ」
「付けていたのは神崎組です。」
神崎組は、東北を取り締まる傘下の組。
「ほぅ。」
「どうしますか?」
「どうせそこら辺に溜まってんだろ。
今すぐ離れに集めろ。」
「わかりました。」
未衣との買い物を邪魔されたからか、
かなりご立腹な様子の雅さん。
怖すぎて迂闊に近づけない。
また、未衣も未衣で機嫌が悪い。
これは相当頭にきている様子。
組長室を出て、待機している組員に指示を出す。
「今いる傘下の奴らを全員離れに集めろ。そこら辺にいるはずだ。」
「「わかりました!」」
すぐに取り掛かる組員を見送った後、
未衣に会えるのを楽しみにしているであろう湊達の待つ客室に行く。
タイミングが悪すぎるんだよ。
どうして今日なんだ。
俺は、未衣と湊達の再会する計画が崩れた為にイラついている。