そろそろか。

12時59分

あいつらが来る1分前に門の前に行く。

本当に時間ピッタリに車で来たあいつら。

「付いて来い。」


嫌な予感がしながらも、湊達を客室に通す。


「どうぞ。」

「ねぇ、未衣ちゃんは?」

「もう少しで帰ってくる。」


部屋に入るなり質問してくる陸。


「どこいってんの?」

「組長と買い物。」


今度は海かよ。


俺の答えに、顔を顰める湊。


「あの人は、未衣の為ならなんでもするよ。」


だから先に回って答えてやった。


……未衣の為なら命も捨てる覚悟があの人にはある。


「もうちょっと待ってろ。」


そう言って部屋を出るなり、すぐにケータイから雅さんの履歴を探し掛ける。


プルルルル


「もしもし雅さん」


「……ちっ。あ?隆斗か。」


何故か焦っている雅さん。

ケータイ越しでも、緊迫した雰囲気なのが伺える。


「なにかあったんですか?」


「付けられてる。」


「どこの組ですか」


撒くために時間に遅れているんだろう。


「わかんねぇ。ただ、狙っているのはみーで間違いない。

買い物ん時から付けられていた。」


やっぱり。

この胸騒ぎは当たっていた。


「湊達はもう来ています。」


「わかった。すぐに帰る。」


ツーツー


回線の切れた音はいつも虚しいと思う。


「おい。」


近くを通りかかった組員を呼び止める。


「組長とお嬢が付けられてる。

すぐにどこの組か洗い出せ。」


「「わかりました!」」