湊達に会わせると言った日。
未衣は午前中、雅さんと買い物に出かけていた。
「未衣の服小さくなって入らないでしょ?」
家には未衣が出て行く前の服しかなく、
今のサイズの服がまったくと言っていいほどない。
この3週間は、組員に頼んで買ってきてもらった非常用の服で過ごしていた。
今日は、雅さんも未衣も午前中なら時間が空いていたため服を買いに行くそうだ。
もちろん雅さんには今日、湊達が来ることを伝えてある為午後までには戻ってきてもらうつもり。
人混みが苦手な雅さんは、普段人がたくさんいる昼の街に出たりはしない。
「未衣のため。」
そう言って、未衣とプライベート用の車で出かけていった。
あの人が笑いかけるのはこの世で愛するただ一人。
未衣だけだ。
雅さんが未衣を思う気持ちは痛いほど伝わってくる。
でも、未衣にとっては家族であり
血の繋がった叔父でしかない。
叶わない恋に時々切なそうな表情を見せる雅さん。
でも、そんな雅さんも今日は嬉しそうだった。
関係が修復された二人は仲良くお出かけ。
「いってらっしゃい。」
プライベート用の車を見送りながら呟いた。
二人が出かけたのは朝の9時頃。
もうすぐ13時。
湊達に指定した時間になる。
雅さんには13時までにと言ったはず。
あの人に限って、忘れるはずがない。
なぜか嫌な予感がした。
何が……と聞かれたら返答出来ない。
でも、言葉では表せないなにかが未衣に迫っている感じがした。
未衣が壊れる。
そんな気がしてならなかった。