20分くらいして、部屋に入ってきた隆斗。
「ごめん。あと1時間くらい待ってもらえる?」
「未衣は?」
「未衣が戻ってきた事を聞きつけた県外にある傘下の組がさ、未衣を一目見たいって聞かなくて……」
少し焦った様子の隆斗。
あんのくそジジイ共。くたばりやがれ。
なんてボソッと言ったのは聞かなかった事にする。
「そうか……」
「さっさと追い出して、未衣を連れてくるからもう少しだけ待っといて。」
苛立ちながら出て行った隆斗。
「………」
未衣に会えるなら、何時間でも待ってやる。
「未衣はまだかな」
「もう1時間経った……」
「遅くね?」
隆斗が来てから、もう1時間半。
遅すぎる。
それに、さっきから廊下がうるさくなりバタバタと慌てる音がたくさん聞こえている。
未衣になにかあったのか?
ガラガラ
「ハァハァ…ごめん。」
息を切らせながら入ってきた隆斗。
「遅い。」
「ごめん。今日は帰って貰える?
また後日連絡するから。」
「どういうこと?」
ただならぬ様子に焦りと不安を覚える。
「また今度説明するから。
今度こそ会わせるから今日は頼む。」
嘘を言っているようには思えなくて、
「…わかった。」
「ごめん。連絡は1週間後にはするから。」
1週間も待たなくちゃならねぇのか?
未衣と同じ敷地に居るというのに。
でも、普段取り乱さない隆斗が慌てるほどの何かが……
敵襲か?
そう思って、引くことにした。
殺気も感じる離れの方に、違和感を感じながら。


