眠り姫と総長様


次の日、仁の車に乗り篠原組に行く。

指定された時間は13時。

時間ピッタリに着いた俺たちを迎えたのは隆斗。


「付いて来い。」


なんの挨拶もなしにそう言って、踵を返す隆斗。


中に入ると同時に、外にいた組員が頭を下げて挨拶をする。


「お勤めご苦労様です!若」


「うわっ…」
「まじかよ…」

あまりの迫力に驚く航輝と陸。


家の中に入っても、黙ったまま前を歩く隆斗。


奥にある、こないだも通された客室に案内される。


「どうぞ。」

「ねぇ、未衣ちゃんは?」

「もう少しで帰ってくる。」

「どこいってんの?」

「組長と買い物。」


雅さんって、人混みが嫌いじゃ……


俺の考えていることを察したのか、


「あの人は、未衣の為ならなんでもするよ。」


「……そうか。」


それ以上は聞いたら行けないような気がした。


「もうちょっと待ってろ」


部屋を出て行った隆斗。


残された俺たちは、言葉を発しないまま未衣が来るのを待った。