眠り姫と総長様


決意してから、1週間。

未衣が居なくなってから、約3週間。


迎えに行くと言っても、篠原組は
あっちから招待しない限り中に入れない

用事があると言って、いきなり来ても帰されるだけなのだ。


だから、未衣が外に出た所に行かないと会うことが出来ない。


ここ数日、下の奴に篠原組を見張りさせてる。

でも、未衣が外に出たと言う報告は聞いてない。

それ以前、誰も篠原組に出入りしてないと言う。


「未衣……」


俺が唯一愛する人の名前。


俺にはお前しかいねぇんだよ。


「ねぇ、黒蝶の総長って未衣ちゃんと知り合いっぽかったよね?」


「あぁ。」


知り合いっつーか、お嬢と若頭だしな。


「そいつに頼めば良いんじゃない?」


「…………」


その手があった。


「陸……ナイスだ」

「でしょでしょー。
もっと褒めてよ航輝」


今は夕方。

この時間なら、倉庫か。


「海。」

「はいはい。ちょっと待ってね。」


そう言ってパソコンを起動して、カタカタと打ち出す海。


「黒蝶の倉庫は、隣町にあるらしい」


「仁を呼べ。」


「もう呼んだよー。」


「行くぞ。」