眠り姫と総長様


そんなこと言われたら、


会いたい


その想いが強くなる。


「未衣、誰かを想う事は決して、弱いからじゃない。

大切だと思う人がいるから、守りたいと思う人がいるから
人は強くなるんだ。

そう思えるようになった未衣は強いんだよ。」


あたしの目を見てハッキリ言い切った隆斗。


その言葉で、あたしの心は揺れ動く。


さらに追い討ちを掛けるように


「全ては未衣次第。雅さんが言ってた。

未衣は、自分の思った通りに行動すればいい。

会いに行きたいなら、龍神に行けばいい。

誰もお前を突き放したりなんてしない。」


「あ……たしは、みんなに会いたい。」


「うん。」


相槌を打つ隆斗。


「でも、みんなから離れたのはあたしだから……
自分の都合だけで会いになんて行けない……。」


「確かにそれは自分勝手だ。

消えたくせに、いきなり現れて戻りたい
なんて。

だけど、それを不快に思うのは未衣を嫌いな奴だけだ。

だったら、頼まれても無いのに寝る間も惜しんで探しているあいつらもただの自己満だ。」


「でも!」


「お互い様だろ。

素直になれ。未衣」


あたしの頭に手を置く隆斗は、優しい目で見ていた。


「未衣から行けないなら、あいつらが迎えに来れば良いのか?」


「えっ……。」


そんなこと……


「出来ないって?

あいつなら、こんな夜中に電話してもすぐ来そうだけどな」


くっく

と喉の奥を鳴らす隆斗は楽しそうだ。