コンコン


「未衣、入るぞ。」


「うん。」


ドアをノックしてから隆斗が部屋に入って来る。


「あいつの所に戻らなくていいのか?」


「戻らないって決めた。」


本当は戻りたい。


でもあたしは、弱い自分を守る為に……

決めたんだ。


「あいつら、未衣が居なくなってからすげー探してる。
湊なんて最近寝てないらしい。」


「………。」


探してる?あたしを?

湊……ちゃんと寝ないと倒れちゃうよ。


「みんな未衣に戻ってきて欲しくて必死に探してる。
戻ってやれよ。」


胸が痛い……

みんなの優しさが伝わりすぎて……

眠れてないと言う湊は、少し痩せたような気がした。


ゴメン……あたしのためなんかに。


「でもあたしは……」


「未衣。あいつらが嫌いか?」


「大好きだよ。大切。」


これだけは譲れない。


「それはあいつらも同じだよ。
だから未衣を探すんだ。

それをお前は、自分を守る為に
あいつらの想いを無駄にするのか?」


「………」


違う。そう言いたかった。

でも、あたしがしようとしてる事ってそういうことだ。