「雅。説明してもらうぞ。」


親父が雅さんに言うと


「あぁ。分かってる。着いてきてくれ」


立ち上がり、部屋を出ていく雅さんに着いていく。


離れから本家に行き、1回入ったことのある客間に通された。


部屋に入って座ると、重い空気が流れる


「雅。」


沈黙を破ったのは親父。


「分かってますよ……。」


顔を切なそうに歪める雅さん。


この人も人間らしい表情をするのか…。

そう思った。


「湊。お前はみーが好きか?」


「もちろんです。」


好きじゃなかったら、こんなに必死になって未衣を探したりしない。


「俺は、みーを守ると言っておきながら
みーを傷つけた…。」


遠い目をする雅さんは、後悔をしているようだ。


「お前は、みーを守ってくれるか」


「もちろんです。」


「そうか……。」


少し顔を緩ませた雅さん。


「雅さん。未衣は何者なんですか?」


一番気になっていたこと。

本人から聞きたかったけど、無理な気がした。


「みーは全てを隠して過ごしていたのか…。俺のせいか。


篠原 未衣
俺の姪で、篠原組のお嬢だよ。」



「………。」


未衣が雅さんの姪?お嬢?


全くそんな素振りは見せなかった。


「でも、未衣は姫野って……」


偽名か?あり得るかも知れない。


「姫野は、みーの母親の旧姓だよ」


偽名じゃなかった。