眠り姫と総長様


雅さんとアイコンタクトを取る未衣。


「それで、何を聞きたい」


淡々と話している。


「未衣嬢は、行方不明と聞きましたが……」


「その件については説明する。」


「叔父様に許可を貰って海外の方に旅行に行っていたんだ。

つい先日帰ってきたばかりだ。

心配かけて悪かったな。」


なんで嘘を吐く?


お前はずっと、2年間航輝の家に住んでいたんだろ?


俺たちが過ごした時間は無駄だったのか?

なぁ、未衣。


初めてみる冷たい未衣に戸惑う俺と

俺たちと過ごした事を言わない未衣に、どうしようもない気持ちになる。


未衣の説明に納得する組長方に、本当の事を言いたかった。


けど、言えなかった。


雅さんが、鋭い視線を俺に向けている。


「この話は終わりだ。
報告を始めるぞ。」


未衣と同じように、淡々と話す雅さん。


報告が終わるまでずっと、俺は葛藤していた。


未衣……未衣……未衣……


お前の本心が聞きたい。

どっちが本当のお前なのか聞きたい。

真実を聞きたい。



お前の事を知りたい。