眠り姫と総長様


「未衣!」


「ゆーちゃんなに?」


夕方、学校から急いで帰ってきたゆーちゃん。


「教室に登校しなくて良い、って言ったら通ってくれるか?」


………。


「教室に登校しなかったら、どこに登校すんの?」


学校って、教室に登校すんもんじゃないの?


「理事長に言ってみたらな、
使われてない教室があるから、特別にそこに登校して良いって!

未衣だけの教室!

それでもダメか……?」


あたしだけの教室……


あたししかいない教室……


「行く……」


「よっしゃー!じゃ、受験しような!

登校は毎日俺が車で送ってやるから」


「うん」



こうしてあたしは青華高校を受験することになった。



あとから分かったことと言えば、

青華高校の理事長は高宮組の前組長。

総一郎さんだったこと。


組関係で顔見知りだった。




やっぱり世間は狭いと思った………。