眠り姫と総長様


「航輝、大声出してどうしたんだよ」


二階にいたお兄ちゃんが、うざったそうに降りてくる。


「兄貴!未衣が笑った!
俺のこと、こーちゃんって呼んだ!」


まるで赤ちゃんが初めて言葉を口にした時のような喜び方のこーちゃん。


「嘘だろ…」


「嘘じゃねーよ!」


「未衣。俺の名前呼んで?」


あたしと目線を合わせるお兄ちゃん。


「ゆーちゃん」


なんとなくそう呼んでみた。


「……俺の名前呼んでくれた。」


嬉しそうに頬を緩めるゆーちゃん。


「ゆーちゃん」


もう一回、呼んでみると


「……っ……」


ゆーちゃんの目からポロポロと涙が溢れる。


「泣かないで?」


「……っ良かった……」


しゃがんで泣いてるゆーちゃんの頭を撫でる。


「ありがと」