「お名前なんて言うの?」 女の人はあたしと目線を合わせて聞く。 「未衣。」 「あたしは沙織。悠ともう一人は寝てるけど2人の母親よ。 よろしくね未衣ちゃん」 「……お願いします。」 とりあえず頭を下げとく。 「かわいいわねぇー。 私娘が欲しかったのよー」 あたしを離さない沙織さん。 「未衣が固まってるだろ。離せよ。」 「ケチケチしないの! じゃあ、お父さんにも紹介しないとね」 「親父起きてんのかよ」 「当たり前じゃない!」 あたしの手を繋いで、家の中に入っていく沙織さん。