眠り姫と総長様


もっと…もっと遠くに逃げないと……


そう思って、止まっていた足を動かすと


ードン

「いってぇ」


誰かにぶつかってしまった。


「おい。」

「ひっ……」


ぶつかったのは、茶髪ヤンキーのお兄ちゃんだった。

睨んできたと思ったら、その目はすぐに驚きに溢れていた。


「なんでガキが夜中に走ってんだよ…」


関係ないだろ。


早く逃げないと……

無言で去ろうとしたら、ヤンキーのお兄ちゃんに腕を掴まれた。


「おいガキ。行く宛あんのか?」


首を横に振ると


「俺ん家来るか?」


えっ……

振り返ると、ヤンキーのお兄ちゃんが
優しい顔であたしに聞いていた。


「そんな格好じゃ寒いだろ。
行く宛もないなら俺ん家に来いよ。」


「ぃ……の?」


震える声で聞くと


「いいに決まってんだろ。

ちょうどお前くらいの弟が居るんだ。
遊び相手もちゃんと居るぞ」


「……いく……」


「よし!決まりだな!」