眠り姫と総長様


〜♪〜♪〜

ケータイが鳴る

"湊"と画面に書かれている。

そう言えば13時に迎えに来るって言ってたな。
時計の針が差しているのも13時。


「もしもーし」

みんなが知っているのは、
いつも笑顔で明るい未衣。

そんなのここ1年の話にしか過ぎない。


あと3日。

それでみんなの知っている"姫野 未衣"は居なくなる。


だからあと3日は、みんなの未衣で居るって決めたの。


ー「家の前にいる」

「わかったよー」


ぶっきらぼうに伝えるとすぐに切る湊。


階段を下りて玄関で

「さっちゃん行ってきまーす」

「あらもう行くの?気をつけてねー」

「はーい」


キッチンにいたさっちゃんに聞こえる声で挨拶して家を出ると、湊が壁に寄りかかって待っていた。