眠り姫と総長様


ゆーちゃんに出会って、岡崎家に連れてこられた時も思った。

世界は小さいって。

逃げたと思ったら、すぐ知り合いに会っちゃうんだもん。


「未衣?」

「なんでもないよー。」


「じゃあ、行くか。」


湊を先頭に家に入っていく。

あたしは湊の隣を歩いている。
腰に手を回されながら。

それだけでドキドキする心臓。


「「若、おかえりやさい!」」


大勢のイカツイ男が湊に頭を下げる。

「あぁ。」


一言返して、ドンドン奥へと進む。

家の中に入ってもそれは変わらない。

頭を下げる人に目もくれず、目的の場所へと向かう湊に、着いて行くみんな。


この家は、昔と何も変わっていない。

懐かしさが込み上げてくる。

一番奥にある部屋の前で止まる湊。

この部屋……昔"みんな"で集まってたな


「先入ってろ」

こーちゃんとりっくんと海くんは先に
「失礼します。」と言って部屋に入っていった。

残ったあたしと湊。