眠り姫と総長様


「入らなくていいの?」


城田の一言ではっとした。

未衣を迎えに来たんだった。


「「未衣(ちゃん)!!」」

勢いよくドアを開ける。

焦っている俺たちを不思議そうに見て

「あれ?みんなそんなに焦ってどうしたの?」

「良かった……」


未衣を抱きしめる。

おれの背中に腕を回してくれる未衣。


「だから俺言ったのにぃー」

俺たちの後に入ってきた城田。


「蓮。」


未衣は俺の腕の中で城田の名前を呼んだんだ。

城田も名前で呼んでるのかよ…。


「久しぶりだね、未衣。」


さっき俺たちと話していた時よりも
優しい声で未衣を呼ぶ城田。


「おい湊。未衣を離せ。」

「ちっ。」


泣いていたせいか、少し目が赤い隆斗が俺と未衣を引きばかす。


俺と城田はほぼ初対面だが、隆斗とは初対面ではない。

組の方で良く会うからだ。

そこそこ仲はいい。