眠り姫と総長様


ってことで、未衣がいる理事長室に向かう。


コンコン

「「失礼します。」」

「失礼しまーす」

「………」


海と陸は威圧感のあるじいさんが苦手。

航輝は慣れた様子で理事長室に入る。


「君たちか、久しぶりだな。」

理事長室を見渡すと未衣の姿がない。


「未衣はどこだ?」

「未衣くんは今学校に居ないぞ。」

「あ"?どういうことだよ」


悠さんが理事長室に居るって言うから来たのに。


「総一郎さん。どういうことですか?」


「あの子が笑うようになったのは、航輝くんの家に来てからだ。

それまであの子の笑った所を見たことなかった。」


質問と違うことを言い出すじいさん。


「なんで昔の未衣を知ってるような言い方してんだよ。」

「昔のあの子を知ってるからだよ。」

「………」

昔の未衣について知りたいが、今は未衣が何処にいるのかが先。


「未衣はどこにいる?」

「あの子は帰らなくては行けない。」


突然、悠さんが家に連れてきた未衣。

いつかは帰らなくては行けないと頭ではわかっていた。