眠り姫と総長様


「隆斗、用は済んだだろ。

未衣帰るぞ。」


いつも優しい湊は、少し怒っていて荒っぽくあたしの肩を抱くと部屋から出る。


「未衣。時が来たら………」


「……またね。二人とも。」


それは未衣と隆斗にしかわからない会話


"時が来たら……迎えに行く。"


わかってるよ……

こないだ、毒蛇が攻めてきて久しぶりに昔の自分に戻った時思ったんだ。


どこへ逃げても血は繋がっているんだ

って………。


でも湊達に、出会う前のあたしを見せたくなかったな……


感情も心も人情も何もない、

冷酷で残酷な無表情のあたしの姿を……


きっと、みんな怪しんでる。

現に、「お前は……何者なんだ?」

そう言った時の湊を思い出す。


目の前に居るあたしが本物なのか、信じられないような……

疑う、敵意の篭った目を……。