眠り姫と総長様


あたしが抱きしめると、隆斗はあたしの腰を抱きしめる。


「ゴメン……ゴメンね……。」


「………」


小さい頃、あたしが泣いていると側で、
泣き止むまで背中をポンポンしてくれた隆斗。

感情を出すことが少なく、いつも無表情

だけど本当は誰よりも一番優しい隆斗。

だから、あたしも隆斗が泣き止むように大きくなった背中をポンポンする。


そんな時、

ーーガチャ

「「未衣(ちゃん)!!」」


焦った様子の湊達が入ってきた。


「あれ?みんなそんなに焦ってどうしたの?」


「良かった……」


湊の温もりに包まれる。


「だから俺言ったのにぃー」


湊に抱きしめられていて顔は見えないけど、この場に似合わない明るい声が聞こえてきた。


でも、声が低くなっててもあたしはわかるよ。

「蓮。」


隆斗の幼なじみの城田 蓮。

小さい頃は3人でよく遊んだりした。


「久しぶりだね、未衣。」

「おい湊。未衣を離せ。」

「ちっ。」


いつもの無表情に戻った隆斗は、湊をあたしから剥がす。