眠り姫と総長様


「そっか……」

今のあたしには、そう返事するのが精一杯だった。


帰ろうと思い、立ち上がると

「未衣。」

貴方が真剣な顔で立った。

いつもとは違う、組の者。

「なに?」

だいたい言われる事は検討がつくの…

だけど、聞きたくなくて……冷たく返事をしてしまう。


ーーガシャン!


彼の方を向いたと同時に、下で大きな音がする。

だけど、そんなことはどうでもいい。


「未衣……」

「………」


彼はあたしの目の前で、片膝を立ててしゃがみ、右腕を左胸に当てる。

童話に出てくる王子様のようなポーズ。


「篠原組若頭、組長からの伝言を伝えに参りました。」


"未衣。お願いだから戻ってきてくれ。
話がしたいんだ。"


「………」


やっぱりね……