羽鳥は、満足そうな笑みを浮かべる。


「あぁ、忘れるところだった」
羽鳥は、いったん雪菜の体を離し、

何やら思い出したように
羽鳥のナップサックから、小さな箱のようなものを取り出した。



「ほら、お前にやる」



「え?」

差し出された物が、何かわからず、間抜けな声をあげてしまう。

「だから、誕生日プレゼントだって!
そういうのは、察しろ。」




羽鳥が照れ臭そうに言う。

「トリ、なにてれてんの~?」
恥ずかしそうにしている羽鳥を見て、なんとなく雪菜はいじらしいきもちになってしまう。

「照れてねえ。ほら、はやく後ろ向け。」



「え?後ろって…?」

羽鳥に強引に後ろを向かされ
なにやら首にヒヤリとした金属のようなものが当たったかと思えば



「うわあああ、かわいい!」



雪菜の首もとには、
トップに雪の結晶がデザインされた
ネックレスがかかっていた。


「誕生日プレゼント。
17歳、おめでとう」


「あ、ありがとう…!」
雪菜は羽鳥に満面の笑みを浮かべる。






羽鳥は、照れ臭そうにしたまま、
また髪をクシャっとなでた。



そして、この部屋の空気にいたたまれなくなったのか、恥ずかしくなったのかは分からないが、
「そんじゃあな!!」と大声言って、スタスタ部屋からでていってしまった。
…やっぱり恥ずかしかったのだろうか?



一人、部屋に残った雪菜は心臓がバクバク。

(ど、どうしたらいいの…っ!)



雪菜は一人、ほてる頬を指で引っ張った。

(明日からトリとどんな顔して会えば…!)


…だけど、なんだかこうなって、嬉しい自分もいるんだよね


「あ、馨先輩にもメールしなくちゃ。先に帰っちゃったし」




そういって、雪菜はカバンから携帯を取り出した。






Act,7【雪菜視点】終