千秋と肉まんを買い、近くのパークが全体的に見れる高台のような場所へ来た。
この高台にはベンチが沢山有り、食べるにはたって食べるのも嫌だし、ここが最適だという結論に至った。
羽鳥と千秋はベンチに座り、景色を見る。
少し、日が暮れかかっている。
高台なだけあって、少し風は強いほうだ。
まだ日が暮れてはないので、皆アトラクションを回っているのだろう、高台の人気(ひとけ)は少なかった。
(雪菜もこのパークのどこかにいるんだよな…)
風が心地ゆく二人の間を吹き抜けてゆく。
「羽鳥、肉まん美味しいね。」
千秋はまっすぐ、景色の方を見ながらぽつりと呟く。
「美味しいな」
髪が風になびく千秋の横顔を一目見たあと、
羽鳥も視線を景色へと戻す。
「羽鳥、覚えてる?
初めてのデートの時も、こうやって肉まん食べたよね」
「そうだったか?」
「そうだったか…って、ひどいっ!」
千秋は頬をふくらます。
羽鳥は、視線を空へとやった。
「嘘だよ、ちゃんと覚えてるって。」
そんな羽鳥の横顔を、今度は千秋が見る。
「もう、なにそれ……」
千秋は少し寂しそうに笑った。

