「羽鳥」
千秋は、千秋の家の前に立っていた。
「待たせたな」
「ううん、いいの。来てくれてありがと。」
千秋は完璧な笑顔を見せる。
(来てくれてありがと、って、来ないという選択肢がないのによく言う…)
「千秋、単刀直入に言う。俺は、お前を抱くつもりは無い。」
はっきりと羽鳥が告げると、千秋は思いっきり目を見開き、驚いた。
千秋の完璧な笑顔が、崩れて行く。
―――少しの間、二人に沈黙が訪れる。
「じゃあ、何のために来たの」
「お前と、もうこういう彼氏が別れた時だけの体の関係っていうのを、やめようと思って、それを伝えたくてきた。」
「……」
千秋は、少しうつむく。
…こういう、歪(いびつ)な関係は、嫌だ
幸せそうに今遊んでいることだろう、雪菜と馨の関係を考えたら、今俺が持っている体だけの関係というものの虚(むな)しさが浮き彫りになって仕方ない。
「俺は、お前と友達になら、なれる。お前とは話も合うし、できることなら友達になりたい。だが、恋愛対象としては一生見ることはできないし、体を重ねることはもう絶対にしない」

