次の言葉が出なかった。
言い返す言葉がなかったからだ。



馨に言われてから気づいたが、確かに告白してきた女の子はほぼ皆、会話したことが一度もない相手だった。


周りに寄ってくる女子は、顔だけ見ているという観念がついてしまった。
目の前の雪菜を見つめる。

「だが、お前は見つけられた」


今朝、女子に群がられていた時も
雪菜だけは、見つけられた



雪菜だけ―――――


「??トリ?見つけられたって何?」


何を言っているのか分からず、
間抜けな顔をしている雪菜がなんだか可愛く見えた。

(いや、可愛い、より安心する、みたいな感じかな)



ほかの女子とは違う。


雪菜の頭をくしゃっとつかみ、

「幼なじみっていいな。」


そう言ってほほえんだ。




少し芽生えた雪菜への感情を、
俺は心の扉にとじ




―――――――気づかないふりをした









――――act,3羽鳥視点【終】