馨は雪菜の席の方へと迷わず進んできた。
そして、前に立つと、ふわりと微笑んだ。
「雪菜ちゃん、ちょっといいかな?」
「あ、はい…!」
廊下に来るよう促される。
だが、なぜか羽鳥も後ろから付いてきた。
「羽鳥、俺はお前呼んでないけど?」
馨はあしらうように笑う。
「何?俺がいたら悪いような話をするわけ?」
(どうしたんだろう羽鳥…)
「なんでそんな、トリケンカ腰なの??」
「…別に」
「…いいよ、雪菜ちゃん。別に羽鳥がいてもいなくてもいい話だし。」
「はい」
「話っていうのはね、俺が最後に出る弓道の大会が二週間後にあるんだ。」
そう言い、馨はズボンのポケットから、
”西島弓道場6/28大会入場券”
と書かれているチケットを取り出した。
「これに、来て欲しい」
馨は、真っ直ぐに雪菜を見つめた。
そう、何か決意のようなものを秘めた目で。

