「あー!もう少しだったのに!!」


私がパチンと指を鳴らすと、再びクレーンを動かし始めた先輩が、おもむろに呟いた。


「腕……、落ちたな……」

「えっ?十分、上手い過ぎる程上手いと思いますけど?」

「実はさ、このUFOキャッチャー。彼女が好きだったんだよ」

「…そうだったんですか」

「俺は元々こういうの興味なかったんだけど、取ってやる度、アイツがキャーキャー喜ぶし、いつの間にかやるようになってた」

「……」

「そのおかげで、今じゃあ、色んな女が喜ぶけど」


そう言って、先輩は、手に取った二つ目のぬいぐるみを見せ、少し自慢げな顔をした。