「…うん」



直樹の傍に駆け寄って、抱きしめた。


腕の包帯が痛そうに見える。




「怪我、痛い?」


「すぐに治るだろ」


「そっか…」


我慢している表情ではないから、大丈夫だと分かっている。
それでも心配で仕方がないのだ。


「なぁ、杏」


「ん?」


「色々終わったんだし、後はお前だけだな」


「え?」


「お前の母さん見つけようぜ」



「直樹…」


温かい直樹の腕の中で目を伏せた。



「今度は、俺がお前を助ける番だな」



「待ってよ。俺等も行くよ」






病室に入ってきたのは、手当てを終えた智さんと美沙だった。