「俺は杏ちゃんが自立するには、ちゃんと親元に帰るのが1番だと思う」



「何…? 知ったかぶりで言わないでよ…。あたしの居場所なんてないのに。

お父さんが死んで、

お母さんが毎日冷たい目であたしを見て、仕事もしなくなって。




ご飯もお風呂掃除だって。





全部あたしがやったんだよ?」





それを甘え?

何それ。




あたしなりに苦労したのに。





あたしだって辛いから。







「あたしの…気持ち……。理解してないくせに、何でも言わないでよ…」




智さんに全てをぶつけた。


もうそれだけで嫌になって、あたしは店から逃げ出していた。






行くあてもなくて、たどり着いたのは直樹の学校だった。