狐の呪い 〜社の奥の、その向こう〜





「じいちゃんー?僕だけど」


スパンッと襖を開け、部屋に入る渋木くん。部屋の中には家具とたくさんの書物、年老いてるけど元気そうなおじいさんがいた。


おじいさんは本から顔をあげ、あたしと渋木くんをみた。


「おぉ、彰か。なんだこの時間に?」


「こんな時間にごめんね。ちょっと調べものしたくて来たんだ。遅くなるから泊まるけどいいよね?」


「別にいいぞ。…彼女は?」


「隣のクラスの中村杞捺さん。京介と幼なじみなんだ。あ、京介もこれから来るから」


「京介来るのか。…そうか京介と幼なじみか。初めまして中村さん。ワシは渋木永吉、よろしくな」