狐の呪い 〜社の奥の、その向こう〜





「な、なに……」


なに…この感じ。背中がゾクッとする。


渋木くんが指差した先には、…『何もない』。細い一本道が果てしなく続いていて、道の先が見えない。真っ暗で手前の道しか見えないぐらい。このまま進んだら恐怖心に負ける。


なんで『何もない』場所に恐怖するのか分からない。だけど…

「ね、ねぇ渋木くん…。早く行こうよ」


一刻も早く、ここから立ち去りたい。


このままここにいたら危険だ。真っ暗な『何もない』場所から漂う、禍々しい『気』が危ない。


「渋木くん…?」


「………あ、ああごめん。怖がらせちゃったね。早く行こうか」


渋木くんはハッとして、またニコッと笑った。でもその笑顔はいつものとは違う。無理矢理つくった笑顔…。


ジッと『何もない』場所を見つめ、また歩き出した渋木くん。

「……なんなの?この感じ」


禍々しく…不気味な『何もない』場所…近づきたくない。