「ん、なんだ杞捺?風呂入ってたのか?」
脱衣場を出ると兄の鴇(とき)と鉢合わせになった。
「うん、汗凄かったの」
「ふーん…。まあいいや、そこどいて。俺入るから」
シッシと追い払われ、あたしは脱衣場からでて、リビングへ向かい、テーブルに並べられた朝食に手を伸ばした。
「いただきまーす」
「ねぇ卓(たくみ)さん。今日は何時ごろ帰るの?」
「んー、7時半かな。遅くても8時には帰ってくるよ」
「分かったわ。それじゃ家で待ってるわね。いってらっしゃい」
「ああ、いってきます」
……両親はとても仲がいい。毎朝の日課になっている<今日は何時ごろ帰るの?>。
毎朝毎朝よく飽きないよね。
でも、毎朝それを繰り返すってことは、お互い嫌じゃないってこと。

