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「ケイタさん……私、もうダメかもです……」

「くそっ!もう少しだから!もう少しで……!」


 汗のせいか、ゆっくりと繋いでいる手が滑り落ちていく。


「ケイタさん……絶対に生きて……ここを出てくださいね……」

「ショウコちゃん?!」

「さようなら……」


 パッと、手が離れた。


「ショウコちゃあああんっ!!!」


 手を離したのは、ショウコちゃんの方だった。

 どうして?!もう少しで一緒にここを出られたのに……どうして君は、そう簡単に生きることを諦めたんだ?!もう少し、だったのに……!

 ショウコちゃんが吸い込まれた穴を、俺はボー然と見つめていた。信じられなかった。信じたくなかった。手の中には、まだ彼女のぬくもりがあるというのに……。


「っ?!」


 不意に、俺のいる床――すなわち、廊下の一部が、ゆっくりと沈んでいることに気が付いた。

 さっきショウコちゃんが言っていた嫌な予感って、これのことか?このままだとこの床も穴に落ちる?彼女はこれを予想していたから、早く手を離せと言っていたのか?

 そう考えたら、このままここにいて死ぬのはいけない、よな。彼女は自分の身を削って、俺が助かるように仕向けたのだから。

 歯を食いしばって立ち上がり、ゴールまで残り数メートルの廊下を歩く。

 この光の向こうがどうなっているのかは分からないけど、俺は確かに生き延びてここまで来たんだ。