「えー……っと。うん。……は?」
「てめぇ……わざとだろ?」
きれいな顔の眉間に縦皺が。
私との距離を縮めて、目の前に立ち、見下ろす。
「麻衣!」
その時。
マンション廊下を通る、足元と共に私の名前を呼んだのは祐也。
私達に近付いて来ると、表情はいつも教室で見る様な笑顔。
「響くんは雅也さんとの勝負に負けちゃってさ。187回負けっぱなし。あ、雅也さんって俺らの先輩でさ、勝負ってのはダーツなんだけど」
祐也が喋るのを、響は顔を背けたまま聞いている。
「まあ、要するに八つ当たり。だから響くんは謝ってる訳。実際麻衣は悪くないしね?まさかその格好のまま出ていくなんて予想してねぇし。しかもお前どこ居たの?よく襲われなかったな」
あははは!
と。祐也の笑い声が辺り一面に響いて、赤い髪が揺れた。

