「へぇ……アイツが泣き虫か。喧嘩の強さは空手かよ」 面白いのか、そうでないのか。 私の話を、新たにつけたタバコを吸いながら静かに聞いていた慶太郎。 嘘は吐いてない。 もう、思い出してもしょうがない、記憶。 あの頃は楽しかった、なんて台詞は。 今が充実しているから言える事で、私がそれに似た言葉を口にするならば。 あの頃に戻りたい、とは。絶対に言わない。 やっと前を向き出した自分。 だけど、それを嘲笑うかの様に、簡単に引きずり戻す雄大。 「出会わなければ良かったんだ。私達」 最初から。