驚いて息を飲むと、 両腕を思いきり掴まれて、 体育館裏の奥に連れて行かれる。 ――水がだんだん制服に 染み込んできて、髪からはポタポタと 雫が滴り落ちている。 …寒い。 「ちょ、なにして…っ!」 いきなり手を離されて、 ドンッと突き飛ばされた。 通学カバンが、弾みで地面に落ちる。 見上げれば、そこに居たのは――。 「なぁ、いい加減に 調子のんなっつってんじゃん!」 「きしょ。こっち見んな」 津田と小沼、 そして、2人の仲間だった。 ――校舎から、 吹奏楽部の美しい演奏が響いてくる。