…1人きりの屋上は、 とんでもなく久しぶりに思える。 木枯らしが吹き抜けて、 屋上の隅に積もっている細やかなチリを 舞い上がらせた。 1人でぼうっと 景色を眺望するくらいしかやることが ないから、ヒマといえばかなりヒマだ。 カイ、どうしたんだろう。 …紅く色づいた山の紅葉が、 夕陽に当たって照り輝いて見えた。 …カイのことを思い返した時、第一に 頭に浮かぶのは、次々と口から紡がれる 空想的な言葉の数々だったりする。