「だよね?」
「桐原さん、可愛いもん」
目元を滲ませて、優しく笑う。
夜に溶け込むような、不思議な目をしている。
「抱き締めて、泣かないでって頭を撫でてあげたいぐらい可愛い。でもごめん」
両手の手のひらを私に見せてきたが、その手は色んな絵の具が固まって貼り付いて汚かった。
「馬鹿。抱き締めるチャンスだったのに」
「うん。馬鹿だね。でも俺が馬鹿で良かったよ」
フフと笑うと、「そーだ」と立ち上がり、ポケットを指差す。
「タオル入ってるから使っていいよ」
グズグズと鼻水も出てきていたので遠慮せずに取り出した。
青色のモコモコしたタオルに顔を埋めたら、お日様の匂いがした。



